chapter 43~ chapter 43 “決心” ~ 好きかも、と言ってしまったけれど付き合って欲しいと思っていた訳ではない。 もう全て話してしまうしかなかった。 ずっと気になって忘れられない元彼がいる事。 なのに今までも寂しくて誰かに頼りたいだけで付き合ったりしていた事。 そういう自分にもう負けたくないから、彼氏は作らないつもりだと言っていた事。 あなたを好きかもと思っているけど、その好きが本物なのか自分でもよくわかっていない事。 2人になったら寂しさに負けて都合よく甘えてしまいそうだから2人では出かけたくない事。 「だから、あなたを警戒しているんじゃなくて、私が、そばに居てくれる誰かを 都合よく使ってしまいそうな自分を止める自信がないの。」 言うつもりはなかったのに言ってしまってごめんなさい、と言って謝った。 彼はびっくりしながらも話を聞いて、わかった、と言った。 「別に都合よく使われたとしても全然傷ついたりしないけど。」と笑っていた。 「じゃぁ、今のはとりあえず聞かなかった事にして、今まで通りって事でいいよね?」 全部、話してしまったらラクになった。 心療内科に通って安定剤を飲んでいる事も全て話した。 彼はとてもおおらかな人で、1人でいられる強さも持っていた。 「別に、付き合うとか付き合わないとかこだわらないし。今まで通り遊べればそれでいいよ。」 その後、整備士の彼はすっかり私の悩み相談室状態で、 サーファーの彼の事もさんざん聞いてもらっていた。 そして彼氏は作らないと決めて1年。 電話で整備士の彼に告白してしまってからは半年が経った。 サーファーの彼は電話に出てくれなくなっていた。 連絡が出来なくなってしまったので、もう諦めるしかなかった。 今まで、大事にしまってあった彼とのアルバムを全て出してきて、整備士の彼にこう言った。 「もう、元彼の事は完全に諦める。これから、彼との写真を全部燃やす。」 それは“あなたに100%の気持ちを向ける覚悟を決めました”と言っているのと同じ事だった。 「そうかぁ。本当に、もう平気なの?俺、写真とかあっても気にならないから無理しなくてもいいよ?」 「ううん。もう忘れるって決めたから。 残してるとふんぎりつかないから、全部燃やして処分して、きれいさっぱり諦める。」 「そうか・・・。よし、ガンバレ!!それなら俺も、そのつもりで真剣に向き合うよ。」 整備士の彼に報告した後、写真を見ながら号泣した。 河原で焚き火をしてアルバムを全て燃やし、彼からもらった指輪とネックレスを川に投げた。 別れてから5年間、他の誰かと付き合っても身につけたままにしていたものだった。 想い出の品物を全て処分したら、なんだかすっきりした。 そして今まで、彼のところへ戻りたいと思う気持ちがあったから、 気持ちのどこかで彼の好きだった自分、彼と付き合っていた頃の自分を 捨てきれないでいた事に気が付いた。 “あぁ、彼から離れて違う自分を探したいなら、最初からここまで完全に彼から離れる必要があったのだ。 私はあんなに変わりたいと思ったのに、結局自分で変わらないようにしていた部分があった・・・。” なんて長い時間を無駄に過ごしてしまったんだろう。 でも、これからは本当に、どう変ってもいいんだ。どんな私になってもいい。 そうして27歳になった頃、私は整備士の彼と付き合うことになった。 今度こそ、本当に人としっかり向き合うんだと心に決めて。 ◆chapter 43について(日記) へ ◆chapter 44 へ |